悔しさ
はな最初から自分を標的にしておいて。
(騙される事もあるでしょうけど、それでも騙す側の人間になりたいだなんて、私は思いません)
二枚舌もいいところだ。
あんな嘘つき、見たこともない。
(そんな所に放っておいたら死んじゃうかもしれないじゃないですか)
死なれたら困る訳だ。
自分は大事な保険だったのだから。
(ですから、人間は罪を償う為に生きていると思います。犠牲にした他の命の分まで)
……俺は……まだ罪を償えていない!
まだ死にたくない。死ぬ訳にはいかない!
(……さようなら、深山君)
……嘘つき……
……大嘘つき……!
(深山君を残して、勝手にどこかに行く訳ないじゃないですか)
それはそうだろう。
自分が、彼女の獲物がだったのだから。
「――――――っくそっぉぉぉぉぉぉぉっ!」
叫び、壁に拳を打ち付ける。
どれだけ彼女を恨んでも。
どれだけ葵を憎んでも。
やり切れない。
悔しい。
心のどこかで、いまだに彼女を信じている自分がいるから。
いまだに葵を憎めない自分がいるから。
どうしようもなく、悔しい!
……この現実が……憎たらしい……!