冷
(……今は、思考するんだ!)
感情を殺し、生きる為の算段を立てる。
このまま上に逃げ続けてもあるのは屋上だけだ。
こんな体になっても流石に四階から飛び下りて大丈夫なのか、という不安がある。
大丈夫ではないのなら、何か手を打って再び外に出て結界とやらを破らなければ。
しかし。
「!」
ゾクッ、と背筋が凍るようなものを感知し背後を振り返る。
コツ、コツ、と一定のリズムを刻む冷酷な機械のような靴音が廊下に響く。
葵はすでに追い付いていた。
「もうそろそろお遊びは止めにしましょう」
冷酷に告げられる。
刹那、葵の体が爆ぜた。
瞬時の内に緋影に肉薄し、剣撃が放たれた。黒い斬撃を首の皮一枚でかわす。
続いて繰り出された槍の突きもジャケットがびりびりと音をたてて破れたが、体自体は攻撃をかわしている。次々と繰り出される斬撃と槍の突きを、緋影はよく防いでいた。
黒剣はナイフで受け止め、槍の突きはかわす。
だが疲労は少しずつではあるが、蓄積する。
段々と緋影の動きにキレがなくなっていく。