不幸だっちゃ

愚か者

愚か者

かしゃん。

小さな金属音が夕日で赤く染まるグラウンドにこだまする。

「……あなたは本当に馬鹿なようですね」

「……俺は、今まで、三回、『心眼』を使った」

突然話題が変わったが、葵の表情は全く変わらない。

緋影は地べたに座り込みながら話し続ける。

「……最初に使った相手は……母親だ」

「…………」

葵は何も言わない。

「何が起こったのかもわからなかった。俺が今わかっているのは、母親を殺したのは親父じゃなく、俺だった、ということだ」

突然の告白にも葵は何の反応も見せない。

「この事を知った時は……心が壊れそうだったよ……俺なんか、死んだ方がましだと思った」

俯きながら淡々と語る。

「……小川を殺した時もたまったものじゃなかった」

自らの心を、包み隠さず吐露する。

「彼女のことを考えないようにしても、考えてしまう」

「…………」

「どうして自分を殺した人間に対して微笑むことが出来たのかって、ずっと考えていた」

「…………」

「そんな時、先輩のことを考えていた」

葵の事を考えている時だけは、呪われた記憶から逃れる事が出来た。

「そう、あの日、先輩に会わなければ、俺はどうなっていたかわからない」