不幸だっちゃ

自殺

自殺

そんなことをしたら父と母に顔向け出来ない。

今も世界中を駆けずり回っている父には、自殺してしまったら何と言っていいか言葉が見付からない。

そして、自らが手にかけた少女に、なんと申し開きしたらいいのか。

もっと、もっと、一日でも、一分でも長く生きていたい。

……だけど、俺は生きていてはいけない人間のようだ……

刃先が胸から外れる。

「駄目っ!駄目ですっ!ここで深山君を見逃しては……もっと多くの人が死んでしまうかもしれないんですっ!見逃す事なんて出来ないんですっ!」

葵は頭を抱えながら、辛そうに自らの決意を固める為に叫ぶ。

緋影は眼を閉じた。

眼を見られていては殺しにくいだろう、という考慮と、葵の辛そうな姿を見たくなかったからだ。

ドクン。

闇の世界で聞こえるのは自分の心音だけ。

ドクン。

悪寒や吐き気が襲ってくる。

ドクン。

 覚悟は決めた筈なのに……!

 ドクン。

 怖いっ!

ドクン。

 いつ、殺されるのだろうか……いつ、自分の意識がなくなり、『死んだ』という事すら認識できなくなるのか……!

ドクン。