不幸だっちゃ

答えは一つ

答えは一つ

「答えは一つだ。先輩、どうしてあなたは俺に『心眼』を使わせようとしているんだ」

 「…………!」

 「学校にいた時はあんなに楽しそうにしていたじゃないか?夢のような日々だって言ったのは先輩だぞ?なのにどうして……そんなに死にたがるんだっ?!」

「……だから、ですよ」

葵がぽつりと呟いた。

「多くの罪を犯した自分が、そんな幸せを享受する訳にはいかないのです」

なのに、と呟くと彼女はその場に崩れ落ちた。

「……なのに……それなのに……深山君は私を信用してくれた……こんな私を……自分のエゴの為だけに近づいた私を……本当に……うれしかった」

そして葵は地面をダンッとグラウンドを叩く。

「同時に、申し訳なかった……自分は騙そうとしているのに、深山君を利用しようとしているのに……」

何度も何度も地面に叩き付ける手は血に染まっている。

「こんな……幸せを……私が味わってはいけないと……わかっていたのに……!」

再び嗚咽を洩らしていた。

やっぱりそうだった。

今まで見てきた葵の姿は、やはり本当で。

今日会った葵の方が、偽物だったのだ。

……たったの三日しか会っていない筈なのに……

随分遠い昔から、葵と会っていなかったような気がする。

やっと……やっと葵に会えた気がする。

「でも……もうその幸せも終わりです……自分を殺せず……欺き、あまつには深山君をこんな酷い目にあわせてしまった以上……もうここには……」