不幸だっちゃ

閃光弾

閃光弾

……もう、自分が関わった事で誰かが死ぬのはごめんだ……!

葵は槍を両手で構えているが、

(……随分隙があるな)

彼女の体に見える『心の歪み』は左胸。

(……確実に刺せる)

葵は無表情で槍を構えているが、向こうから仕掛けるつもりはないようだ。武道でいうところの『後の先』をとるつもりのようだ。

(……しかし)

あそこを突いてはいけない気がする。手練の葵が馬鹿正直に緋影の攻撃を受けるはずがないのだから、誘っている、と考えたほうがいい。

それに。

彼女の『心』が泣いているような気がする。

床を蹴ると同時に葵が身構える。狙いは。

鋼の軌跡が葵の『罅』右肩に走る。

葵にとってその行動は予想外のものだったようで、何とか槍で攻撃を弾く。ほとんど反射的な行動。

ナイフを弾くと同時に表情が『しまったっ!』というものになる。同時に緋影は渾身の力を込めて蹴りを彼女の腹に繰り出していた。葵がよろめくと、緋影は最後の閃光弾を投擲し、ナイフを口に咥えながら大竹を担ぐ。

迷うことなく窓ガラスを蹴破り、地上三階から緋影は飛び下りた。